本記事は公開時点(2026年08月09日)の情報です。AI関連のサービスや仕様は変化が速いため、最新の情報は各公式サイトをご確認ください。
弊社は BizBoard という経営ダッシュボードを作っているので、「ダッシュボードのデザイン」は毎日向き合っている領域です。この分野、英語圏には定番書が何冊もあるのですが、日本語でまとまった資料は驚くほど少ない。だからデジタル庁の「ダッシュボードデザイン実践ガイドブック」を最初に開いたときは、正直「行政の資料でしょ」と思っていた分、いい意味で裏切られました。

どんな資料か
デジタル庁が Japan Dashboard など政策データダッシュボードを開発してきた知見を、行政職員と民間有識者の意見を集めて体系化したものです。2026年3月に正式版が出て、7月にも更新されている現役のドキュメントで、公式ページから PDF(約22MB)が無料でダウンロードできます。
対象は行政職員に限定されていません。公式の言葉を借りると「データを活用しサービスを推進したいが、適切なデータ活用方法に迷われている全ての方」。つまり民間の管理画面や社内ダッシュボードにそのまま使えます。
読みどころ
「作り方」ではなく「進め方」から始まる
いきなりチャートの話をせず、最初に開発プロセスを扱っているのが誠実です。目的の定義(Why → What, so What → Who/When/How)、プロトタイプ、要望を元にした改善——ダッシュボードが失敗する原因の大半は見た目ではなく「誰が何のために見るのか」の欠落なので、この順番は現場の実感と一致します。
Do / Don't の具体性
デザイン原則のパートは、正解と失敗例を並べる Do/Don't 形式です。「チャートと凡例を隣接させる」「載せるべき情報を選ぶ原則(目的に資する・違いに気づける・分解できる・鮮度がある)」「棒グラフの項目は意味のある順に並べる」……。抽象論ではなく、赤字の Don't 例を見て「あ、これうちの画面だ」となるやつです。
7色の Power BI テンプレート付き
グレー・青・シアン・緑・オレンジ・赤など7色のカラーパレットとグリッドシステム、チャートサンプルを組み込んだ Power BI テンプレート(ZIP)が付属していて、データを差し込めば細かい調整なしでガイド準拠のダッシュボードになる作りです。完成後のチェックリスト(Excel 形式)まで用意されています。
使う上での注意
- テンプレートは Power BI 前提なので、Tableau や自作ダッシュボードの場合はテンプレそのものではなく「原則とパレット」を持ち込む使い方になります
- 政府標準利用規約(CC BY 4.0 互換)なので、出典を明記すれば社内資料や開発ガイドラインへの転載も可能です。本記事の画像もこの規約に基づいて掲載しています
ダッシュボードを作る側として
社内の BI 画面や経営ダッシュボードのレビューで「なんとなく見にくい」を言語化できずに困った経験がある方は、この Do/Don't を共通言語にするだけで会話が変わると思います。弊社でも BizBoard の画面設計レビューの参照資料に加えました。国の機関がこの品質の実務資料を無料で出してくれるのは、素直にありがたい時代です。
ダッシュボードや管理画面の「数字は出ているのに使われない」問題のご相談も受け付けています。BizBoard の事例ベースでお話しできますので、気軽にお問い合わせください。
