本記事は公開時点(2026年08月05日)の情報です。AI関連のサービスや仕様は変化が速いため、最新の情報は各公式サイトをご確認ください。
経理まわりの数字を確認するとき、会計ソフトの画面を開いて、期間を選んで、科目をクリックして……という作業を、最近ほとんどやらなくなりました。代わりに Claude のチャット欄に「先月の販管費、前月比で増えてる科目ある?」と打っています。
きっかけは Claude の「コネクタ」設定画面で、マネーフォワード クラウド会計の名前を見つけたことでした。この記事はそれを社内で実際に使ってみた記録です。
コネクタ画面に「マネーフォワード クラウド会計」がいた
Claude(claude.ai)の設定には「コネクタ」という項目があります。Gmail や Google Drive、Notion などの外部サービスを Claude に接続する機能で、中身は MCP(Model Context Protocol)という仕組みです。
ある日ここを眺めていたら、コミュニティ製のコネクタとして「マネーフォワード クラウド会計」が並んでいるのを見つけました。

弊社は会計をマネーフォワード クラウドで運用しているので、これは、と思って接続してみました。結論だけ先に書くと、月次の数字確認のやり方が変わるくらいには実用的でした。
接続してできるようになること
コネクタを接続すると、Claude が会計データを直接読み書きできるようになります。試した範囲でできたのは、だいたいこのあたりです。
- 仕訳の検索・参照(期間や科目で絞り込み)
- 試算表(貸借対照表・損益計算書)や月次推移の取得
- 勘定科目・補助科目・税区分・取引先・部門といったマスタの参照
- 仕訳や取引の登録・更新
つまり「会計ソフトに入っているデータについて、日本語で聞けば答えが返ってくる」状態になります。逆に言うとそれだけなのですが、日々の業務ではこの「聞けば返ってくる」が思った以上に効きます。
接続は5分で終わった
手順はほぼ説明が要りません。
- Claude の設定 → コネクタを開く
- 一覧から「マネーフォワード クラウド会計」を選んで「連携」
- マネーフォワード側のログイン画面で認可して、事業者を選ぶ
これだけです。API キーの発行やサーバーの用意は不要でした。社内の非エンジニアでも詰まらずに設定できています。
ひとつだけ最初に決めておくべきなのは権限の範囲です。読み取りだけで足りる使い方なら、書き込み権限は渡さない。これは会計データに限らずコネクタ全般の原則だと思います。
実際に使っている場面
月次チェックが「対話」になった
いちばん変わったのは月初の数字確認です。「先月の販管費を前月と比べて、増減の大きい科目を教えて」と聞くと、Claude が推移表を取ってきて、差分に一言コメントを添えて返してくれます。これまで推移表を開いて目視で追っていた作業です。
気になる科目があったら「その科目の先月の仕訳を全部見せて」と続けるだけ。ドリルダウンのたびに画面を行き来しなくていいのが、地味ですが一番効いています。
仕訳の下書きを任せる
「この内容で仕訳を作って」と伝えると、勘定科目や税区分を実際のマスタから引いた上で仕訳を組み立ててくれます。科目の選び方が過去の仕訳と揃うのがありがたいところです。
そのまま登録までできるのですが、弊社では必ず人間が内容を確認してから登録する運用にしています。ここは今後どれだけ精度が上がっても譲らないつもりです。
「なんで増えてるの?」にその場で答える
役員から「今月の外注費、なんでこんなに増えてるの」と聞かれたとき、以前なら「確認して後で返します」でした。今は Claude に同じ質問をそのまま投げれば、該当する仕訳と取引先まで数十秒で出てきます。答えを持って会議に戻れるスピード感は、体験してみると戻れません。
つまずいたところ
よかった話ばかりだと信用ならないと思うので、引っかかった点も書いておきます。
- 期間を指定せずに「仕訳を全部見せて」とやると、取得に時間がかかります。期間と科目で絞って聞くのがコツでした
- 集計値は導入直後に一度、試算表と突き合わせて検算しました。以来大きなズレは見ていませんが、AI が出した数字を無検証のまま社外資料に使うのはまだ避けています
- 仕訳の登録など書き込み系の操作は、Claude 側も都度確認を挟んできます。面倒に感じる場面もありますが、会計データ相手なのでこの慎重さは正しいと考えています
- コネクタは認可時に選んだ1事業者に固定されます。接続後に事業者を切り替えるパラメータは(執筆時点では)見当たりませんでした。自社の会計だけなら気になりませんが、複数の顧問先を扱う税理士・会計事務所の方が使う場合は、事業者ごとの接続の切り替え運用と、いま Claude がどの事業者につながっているかの確認を徹底したほうがよさそうです。うっかり別のクライアントの帳簿に仕訳を入れる事故だけは避けたいので
会計×AI はまだ入り口
今回はマネーフォワード クラウド会計の話でしたが、コネクタの一覧を見るとわかるとおり、同じ仕組みで Gmail も カレンダー も Notion もつながります。そして MCP は公開された仕様なので、自社の業務システムに MCP サーバーを生やせば、社内ツールも同じように「話しかけられる対象」にできます。弊社でも自社プロダクトへの組み込みを進めているところです。
「うちの業務でもこういうことができるのか?」という漠然とした段階のご相談でも大丈夫です。実際に社内で使っている経験ベースでお答えできますので、気軽にお問い合わせください。